【10月1日】 『見えていなかった本当のこと』 |
『見えていなかった本当のこと』十月十一月 不(ふ)思(し)議(ぎ) 私は不思議でたまらない、 黒い雲からふる雨が、 銀(ぎん)にひかっていることが。 私は不思議でたまらない、 青い桑(くわ)の葉たべている、 蚕(かいこ)が白くなることが。 私は不思議でたまらない、 たれもいじらぬ夕(ゆう)顔(がお)が、 ひとりでぱらりと開くのが。 私は不思議でたまらない、 誰にきいても笑ってて、 あたりまえだ、ということが。 秋も深まり、毎年この季節になると、園庭の秋遊びは、どんぐりやマツボックリ、木の枝や木のチップ、枯葉や、野山のすべてのものがおもちゃになります。のこぎりや金づちを使って、少し怖い体験もしながら、手先と頭を使い、想像力を働かせて、いろんなものを作り出してます。ホットボンドの使い方も上手になって、動物や車、お友達や先生を作って、「みて、見て」と、次々に見せに来てくれます。日にちが経つと、家族で遊びに行ったことや、想像した世界などどんどんお話が膨らんできます。 そんなある時、小さなドングリを三個両手で隠して、「コレな〜んでしょ?」と聞いてきます。周りのお友達は次々に作り出す中、何も作れなかったかな?答えに困っていると、耳のそばにどんぐりを隠した手を持ってきて、振りながら、「おとだよ、きれいでしょ?」私は、自分の目に見える形ばかりを見ていましたが、手の中から聞こえるおとには気付くことができませんでした。 私たちは、ものの本当の姿をちゃんと見ないで、自分勝手な思いでものを見ていることが多いです。本当のことを先入観を捨てて見る眼を、仏様の目、「智慧の眼」と言います。みすゞさんのこの詩には、仏様の「智慧の眼」が感じられます。 合掌 |