【平成29年8月】 陰に隠れているもの 8月 |
『陰に隠れているもの』 陰に隠れていて目立つことなく気がつかないけれど、大事な役目を果たしているものがあります。金子みすゞさんは、自然や、花や鳥に眼を注いで、そんな中に”やさしい”心を見つけ、詩にして下さいました。 おさかな 海の魚はかわいそう。 お米は人につくられる、 牛は牧場で飼われてる、 鯉もお池で麩を貰う。 けれども海のおさかなは、 なんにも世話にならないし、 いたずら一つしないのに、 こうして私に食べられる。 ほんとに魚はかわいそう。 先月の続きになりますが、私たちは生きとし生けるものすべてが同じいのちを持ち、お互い尊ばなければいけないとわかっているのに、害虫は殺し、雑草も除草し、私たち人間は自己中心の心で生きています。その上たくさんの動植物のいのちをいただいて、森羅万象のすべてが、みんな関係し合って、私を生かしてくれています。仏教ではすべてのものが関係し合い、支え合って成り立っていることを「縁起」といいます。お釈迦様は、このことを「これあるゆえにかれあり、これなきゆえにかれなし」と表現されました。すべてのものが、他の多くのものの「おかげ」によって生かされているのです。 私たち日本人は、「お元気ですか」とあいさつすると、「お陰さまで」と答えます。あえて誰のお陰とは言いませんが、多くの人々に支えられて今の私がある、生きとし生けるもののお陰で、私の健康があることを感謝の気持ちを込めて、「お陰さま」と答えています。生かされていることへの、感謝の言葉です。忘れてはいけない言葉ですね。たくさんのいのちに生かされている私のいのちであるのですから。 合掌 |